Kia ora! Shev.
- Shiori tanaka
- 6月17日
- 読了時間: 8分
更新日:6月24日
Expanding overseas, selling socks in New Zealand.
いつか、自分の作ったくつ下を日本国内だけではなく、世界中の人々にも届けたい。履いてもらいたい。国境を越えたとき、このくつ下はどう映るのだろうか。大切に作ったくつ下。自分の子供のように、大事にしているもの。くつ下を預けるその場所は、どこでもいいはずがない。それは、日本国内でも同じだ。
「日本製」の製品は、海外からとても信頼されています。日本製というだけで、ブランドの付加価値がある。
もちろん日本製のくつ下も、大変人気。くつ下デザイナーの私が見ても、やっぱり日本製のくつ下ってすごいなと思う。こんなに美しいくつ下はないと、とても評価されている。本当にそう。だって、履くと、全然違うもの。
昔、メンズのくつ下ブランドをやっている仲良しの先輩と、繊維メーカーさんと、日本製と海外製のくつ下の違いってなんだろうね、という話になった。日本で作る意味。日本製のくつ下っていいけど、具体的に何がいいんだろう。
素材は、今や世界中どこでも手配できるし、最近は海外(中国、タイ etc..)の方が質が高い最新の機械を所有しているので、恐らく機械のクオリティだけでみたら海外製品の方が上回っていることもある。(私がいま一番使いたい機械が、日本にはほとんどなくて、海外にはたくさんある…)ただ、機械が最新でも、その機械をどう使い、どんな仕様で、どんな糸使いで、どんな柄で編むのか。企画力が重要だということも確か。
私が思う日本製品の素晴らしい点は、その企画が卓越していいということ。もう一つ決定的に違うところは、検品の質の高さ。これは、くつ下だけではなくどの物作りにも言える品質基準の高さが、よりよい製品を生み出しているのだと思う。悪く言えば、厳しすぎると思うこともあるが、きっと日本人の性格故、この基準(厳しさ)は、このまま世界トップレベルの品質基準を貫くだろう。
昔、くつ下メーカーで働いていた頃、海外の靴下工場へよく行っていた。日本企業向けとアメリカ企業向けの靴下企画が、同じ生産ライン上に並んで生産されていた。同じように編み立てられたくつ下たち。生産が終わったあと、違う道に仕分けをされ、検品作業が行われていた。工場の方に話を聞くと、日本企業向けのくつ下は、検品項目が多すぎるし、厳しすぎる。アメリカ企業向けのくつ下だったらこんなのOKだよ、って話してくれた。OKのくつ下を見せてもらったが、私からしてもこれはNGのくつ下だった。(踵のセットがちゃんと中心に来ておらず、これは履き心地が悪いやつだ…)日本製、日本企業のブランドの良さは、これだ。と、確信した。
厳しい品質基準 = クオリティファースト。
そんなことを、日本人以上に、理解している人たちを見つけた。それはニュージーランドにある「coffee outdoors」というアウトドアブランドセレクトショップ。
|Coffee Outdoors
8 Marion Street, Te Aro, Wellington 6011 ニュージーランド

Coffee Outdoorsは2022年にオープンしたお店で、お店をオープンしたきっかけは、コロナ禍のロックダウン中に思い描いたアイデアだったという。ちょうどその前の夏にたくさんのハイキングを楽しみ、山での時間で心が満たされていったとシェブは話してくれた。
“ ニュージーランドでは、私たちが普段使っていて大好きなギアが手に入らないことに気づきました。そして、気軽に立ち寄れて、堅苦しくないアウトドアショップのニーズがあると感じたのです。”
そんな彼らのことを、たまたま1年前くらいにSNSで見つけた。SNSのフィールドの写真がとても素敵で、セレクトしているものも全てにセンスを感じていた。あとから話を聞くと、SNSで掲載している写真は、どれもフィルムカメラで撮影しているとのこと。店頭の写真をくださいとお願いした時、「フィルムで撮影しているから、フィルムが上がったら送るね」と、粋な回答。

お店のHPを見ていると、日本製の商品をいくつかセレクトしていることに気づいた。そして、セレクトしている商品が、どれもそのブランドの最高傑作のものばかりだった。今や、日本では大ヒットして注目をされている商品かと言われたら、そうでもないかもしれない。でも、私も愛用している好きなアイテムばかり並んでいた。
まだ登山を始めていない頃、2014年〜2017年頃は、夫婦でキャンプを楽しんでいた。好きなキャンプ道具は、snowpeakだった。テントは、トルテュpro(今はなき廃盤商品)。お気に入りのキャンプ道具はスノーピークの焚き火台。「焚火台」というジャンルを作り、直火禁止をマナーとルールにしたスノーピークの名品だ。
彼らが、この焚き火台をblogで紹介していた記事を読み、私は、海外にくつ下を展開するならばこのお店に、くつ下を置きたい。この人たちになら、高山植物図鑑のくつ下が届くはずだ。と、感じた。
coffee outdoors blog 記事 |スノーピークのアウトドア用品。

mont-bell の1000フィルパワーのダウンもずっと気になっていて、セレクトするアイテムが本当にどれも最高。日本で見るmont-bell よりも、なぜこんなに高級、センスがよく見えるのだろうか…。製品とは、どこで見るか、どこで売るか、誰が売るか、というフィールドの大切さも、coffee outdoorsを見て、学んだこと。
そんな場所に、くつ下を置きたいと思い、少し月日が経ってしまった。2025年。年が明けた頃、ブランドのことを考え、どうしていきたいか、ずっと考えていた。次のステップアップとして、やっぱり、海外へ向けてくつ下を届けていきたい。ニュージーランドのお店に置きたい。チャンスがあれば連絡をしてみようか悩んでいた頃、高山植物図鑑のくつ下をずっと愛用してくれているユーザーの女の子が、ちょうどニュージーランドにいることを知った。もう少しCoffee outdoorsのことを知りたい、お店の情報をSNS上だけではなく、何か情報が欲しいと思い、その子にDMをしてみた。「テ・アラロアを歩き終えたら遊びに行ってみようと思うので、写真など共有しますね」と言ってくれて、しばし楽しみに待っていた。
すると数週間後、「お店に遊びに行き、いつも履いている高山植物図鑑のくつ下も見てもらいました」と連絡をくれた。何もお願いしていないはずだけど、とても頼もしい。実際にお店の方も、こんなに綺麗なくつ下見たことない、と興味を持ってくれていたと伝えてくれた。これは、このチャンスを逃すまいと急いで、勇気を振り絞って英語でメールを送った。
そこから、冒頭で " Kia ora Shev! " とやりとりが何通も続いた。(Kia ora!はニュージーランドのマオリ語で使われる挨拶の言葉。)サンプルを送り、実際に履いてもらった。ニュージーランドは、ロングトレイルが多いので、一番に耐久性を重視したくつ下が必要と話していて、高山植物図鑑のくつ下は、耐久性の部分はとにかく自信があったので、恐らくニュージーランドのエリアに適しているくつ下なのでは?と強く感じた。
彼らが選んでくれた日本製のくつ下。ニュージーランドの皆さま、海外のハイカーの皆さまに、どう映るか。
このくつ下と共に、きっと素晴らしい景色を見せてくれるはず。


Why did you want to select Flower of the Mountain?
We first came across Flower of the Mountain when a customer from Japan walking Te Araroa showed us the socks she was using. She had just finished walking the North Island section (1700km) and her socks looked not only as good as new (no holes, no pilling) but they were also beautiful 🌸
高山植物図鑑をセレクトした理由は?
Flower of the Mountainを初めて知ったのは、日本から来たお客様がテ・アラロアを歩いている途中で見せてくれた靴下がきっかけでした。彼女は北島のセクション(1700km)をちょうど歩き終えたところで、彼女の靴下はまるで新品のようにきれいで(穴も毛玉もなく)、しかもとても美しかったのです🌸
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Message from Shev.
Shiori from @flowerofthemountain__ has worked as a sock designer since 2013. With a lifelong dream to become a florist, a keen interest in alpine plants and a love for mountaineering and the outdoors, Shiori combined all of their interests to design the most beautiful socks for serious, hard use in the mountains 🌼🌼🌼Socks are so important that they can affect whether you spend the whole day in comfort or not but they’re also accessories that can lift your spirits 😌 Made in Japan from a carefully picked wool blend by a sock making expert. Featuring a delicate design of alpine flowers, not often seen on socks made for tough outdoor conditions 🌸🌸🌸
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改めて、私の作るくつ下に共感を抱いてくれて、本当にありがとう。いつか必ず歩きに行きたい。ニュージーランドの高山植物の本に想いを寄せている今日この頃。ニュージーランドのトレイルを歩きにいく夢がまた一つ。会いに行きたい。ニュージーランドの高山植物にも、Shevにも。そして、私のくつ下をいつも履いてくれて、Coffee outdoorsのみんなに見せてくれたAちゃん。本当にありがとう。私は、くつ下を通してたくさんの素晴らしい出会いに溢れている。たいせつな人が世界中に増えていく。
ニュージーランドのトレイルは、世界一うつくしいと言われているミルフォードトラックのトレイルルートをいつか歩いてみたいとずっと憧れている。2019年にオーストラリアにあるタスマニア "Overland Track"を選んだ時、ニュージーランドの季節が少し遅く、ベストシーズンに行けなそうだったのでオーストラリアにした経緯だった。あの時からずいぶん時間が経ってしまったが、Coffee outdoorsをきっかけに、ニュージーランドへの想いが募る。ニュージーランドへ行く目的が出来た。