What's WOOL?
- Shiori tanaka
- 2022年9月9日
- 読了時間: 3分
更新日:5月27日
メリノウールの話。
メリノウールとは、主にオーストラリアやニュージーランドで飼育されているメリノ種という羊の毛を用いたウール素材のこと。そのほかのウールに比べ、保温性が高く、数ある羊毛の中でも最も高級な羊毛です。衣服においてウールは冬にとって欠かせない素材の1つです。「ウール=あったかい素材・冬に着るニット」など紡毛のイメージが強いかと思いますが、梳毛のとても細い番手のウール素材は、1年通して快適に過ごせる素材なんです。アウトドア(特に登山)をやっている人にとっては、ウール製品を実際に身につけ、フィールドでウールの良さを実感している方が多いかと思いますが、アウトドアに馴染みのない方にも、ぜひウールの素晴らしさをお伝えしたく、ウールについてお話しします。ウールは人との相性がばっちりと呼ばれている天然繊維。古くから使用されている人間にとって身近な素材です。
point 1
–冬は暖かく、夏は涼しい、天然のエアコン素材–
セーターや厚手の靴下など、ウールというと「体をあたためる」素材というイメージが強いかもしれません多くの人が知るように、ウールの衣服を纏うとあたたかくなる。では、”夏は涼しい”とはどういうことだろう?
point 2
–ウールの繊維–
ウールの繊維形状は1本1本の繊維がチリチリと縮れており、空気の層が出来ています。この縮れ(クリンプ)こそがウール最大の秘密で、約60%もの空気を含んでいます。空気は、断熱性が高い物質でこの空気層が外気を遮断し、体を暑さ・寒さから守ってくれます。住宅に例えると断熱材と同じ働きをし、高断熱の住宅は冬はあたたかく・夏も快適に過ごせますよね。それと同じでウールの衣服を身につけると冬は暖かく感じ、夏も涼しく過ごすことができるのです。

point 3
–消臭性と防臭性–
ウール繊維は構造的に繊維の内側に水分を吸収し、繊維の表面で水をはじく作用があります。ウールは構造上、繊維の表面に水分が残りにくいため、臭いの原因となるバクテリアや菌の繁殖も起きづらいのです。また、ある種の臭い成分を繊維内部に吸着する働きもあります。汗をかいてもウール素材は汗臭さが発生しにくいと言われる理由は、こうした働きによるものです。ウールの持つ構造が、温度調節と、消臭・防臭の働きをしてくれているのです。登山で3日続けて着続けても匂わない。
point 4
–ウールのμ数–
ストロングメリノ 23~25μ
ミドルメリノ 20~22μ
ファインメリノ 20~21μ
エクストラファインメリノ 18.5~19.5μ
スーパー エクストラファインメリノ 17.5~16.5μ
羊毛の繊維の太さはマイクロン(μ)という繊維の細さをもとに換算されています。糸の太さは番手やデニール、デシテックスなどで表しますが、繊維の太さはマイクロンで表示します。マイクロンの数字が小さいほど繊維が細くしなやか。人間の髪の毛は70~80μ程なので比べるとウールがどれほど細いか、わかりやすい。ウールって暖かいけど、あのチクチクした感じが苦手という方も多いと思います。あのチクチクした不快感はμカウント数が大きいウールの繊維調を使っているからなのです。ウール繊維の先が肌を刺激するので、繊維が太いほどチクチクします。「ファインメリノ」以上は、ウールの中でも極めて繊維が細くやわらかいので、驚くほど肌ざわりがよく不快なチクチク感もありません。

メリノウール素材は、通年通して快適に過ごせる繊維です。登山時ではなくても、夏場の暑い季節も、梅雨のジメジメした季節も、冬の寒い季節も、どんな時も人間の身体に寄り添ってくれる繊維なのです。メリノウールを知って、人生得した気分。身に纏うだけで快適に過ごせる。