高山植物図鑑
- Shiori tanaka
- 2023年2月24日
- 読了時間: 4分
更新日:5月27日
2021年より発売をスタートした高山植物図鑑。自分が思っている以上に、皆様の足をサポートし、皆様に喜んで頂くことができ、
本当に嬉しく思います。ありがとうございます。今年で3年目となる高山植物図鑑。今シーズンもたくさんの皆様の足を支え、山へ、街へ、靴下を履いて出かけてもらえるように。靴下にたくさんの想いを込めて生産して参ります。
今シーズンより、高山植物図鑑の靴下を価格改定させて頂く運びとなりました。今回の改定でお客様のご負担が大きくなってしまいますことを心よりお詫び申し上げるとともに、唯一無二の商品としての価値を高め、今後とも変わらぬご愛顧賜りますようお願い申し上げます。
価格改定にあたり物価高騰のため、の一言にするのも腑に落ちなくて、この1年ずっと悶々と悩んでは考え、どう伝え、これからの高山植物図鑑をどう育てていこう、と考える日々が続いていました。靴下への想いが溢れ、生産工程も把握しているからこそ、想いをのせて、靴下のことをお伝えできたらと思います。
今回の価格改定は、今後も続くと予想されるコスト高を踏まえ、長期的に持続可能な価格構成を目指したものであります。昨今のコスト高はやはり避けて通れない課題となり、コスト削減の為に、商品のクオリティを落としてまで生産することは、この靴下にとっては正反対の物作りだと感じました。
smartwoolやダーンタフのようなアメリカ製の靴下は、素材もデザインも耐久性も、物作りもパーフェクトで、(特にウールの素材は独自開発されていたり、本当に素晴らしい!)私も大好きな靴下ですが、価格がとっても手に取り易くいい価格帯。そこの価格帯に並べない大きな理由は、生産数の差だと思います。残念ながら、生産数の違いで原価が全く異なってしまうのは事実。高山植物図鑑もたくさん生産数を増やしたら価格を抑えられるのでは?と単純に思う部分もありますが、日本の靴下工場さんのキャパ問題もあります。工場の機械台数、生産数が、アメリカ製品の靴下と大きく異なる点です。
では、日本製の靴下よりも価格がワンランクも上がってしまう理由は、生産数もあるかと思いますが、一番はデザインと素材。デザインにおいて、高山植物図鑑の靴下には、柄糸に10色もの色数を使っております。高山植物の繊細さを平面の(それもニット)図案で表現したくて、影のように表現を工夫したり、単調にならないように柄を細かく入れて、色数をたくさん入れていることも大きなコスト高の一つ。あまり靴下で10色も入れて編まれる事って、ないです。私も今まで靴下をたくさん作ってきましたが、メーカー時代でも10色の柄糸を入れる事ってほとんどなかったように思います。そしてそして、コスト高になってしまっている要因として、こちらも大きな理由の一つが、後ろ側にだけ柄糸が入っていますが、前側の柄が入っていない部分にも実は柄糸が渡っています。前側の無地部分は柄糸がカットされているので、半分はロス糸になっています。機械の構造上、そうしないとどうしても編み立てができないんです。後ろ側に柄糸が入っている靴下は、ロス糸が多いという事ですね…更に高山植物図鑑は10色もロスになっているという事。ただ、この柄糸の1、2色削ったところではコストにも影響が及ばないし、柄の表現を最優先するのであれば、デザイン変更の選択肢はなかった。
商品のクオリティ維持、ブランドの価値を高めること。小さいブランド故、多く生産することができない分、誰でも手に入れることができる商品ではないということ。日本市場が安価なもので溢れていること。ものづくりをする立場として、「良質なもの」は、手の届く場所に置くのではなく、選んでもらえる人へ届けられるように。これからの日本のマーケットに置いては重要課題となっていくと感じています。“こんな綺麗な登山靴下見たことがない”、“履くことが勿体ない”と思って頂けるような、感動価値のある靴下を作り続け、“もの”で溢れる昨今、この時代に誰に、何を、どこで提供するか、物を手に入れる瞬間に心が動くものを大切に、高山植物図鑑の靴下も人々にとって特別な存在になりますよう、想いをこめてお届けして参ります。
-ものづくりとは、自分の価値だと感じるものを、価値だと感じてもらえる社会を作ること -
それぞれ価値と思うものは違うけれど、少しでも感動を与えられるよう、靴下を通して皆様の喜びとなりますよう、これからも高山植物図鑑をお届けしていきたいと思います。今シーズンも高山植物図鑑をどうぞ宜しくお願い致します。今シーズンのデリバリーについては、4月下旬以降、お客様にお届けできるよう現在絶賛生産中です。楽しみにしていただけたら嬉しいです。
